ガミースマイルの治療
ガミースマイルとは、笑った時に上顎の歯茎が見えすぎてしまい、審美性をそこなった状態を言います。
ガミースマイルの治療を行うにあたって一番重要なことは、そうなってしまった原因を探ることです。何故ならば、原因が違うものなのに違う治療を行なってしまうと、ガミースマイルは良くなったけれど歯が細くてとても長い歯になってしまったり、笑った時に前歯が全く見えなくなってしまったりと、結局のところ審美性を欠いてしまい不満に陥ってしまうからです。
以下にガミースマイルの原因とそれに対する治療法、治療例を記載いたします。
ハイパーモバイルリップ
ハイパーモバイルリップとは、表情筋の過緊張によって笑った時に上唇が挙がり過ぎてしまいガミースマイルになっている状態です。
表情筋は噛みあわせの不具合やストレスなどから過緊張(血流が途絶えてしまい縮こまってしまう)を起こしますが、特に上唇挙上筋が緊張しすぎるとガミースマイルを引き起こします。
[治療法]
理想的には噛みあわせを整えたりストレスを緩和することが重要です。簡易的な方法として表情筋や咀嚼筋のストレッチを行います。場合によっては上唇が上がらないような手術を行います。
[治療例はこちら]
歯の受動的または能動的萌出不全(altered passive and active eruption)
歯は本来、完全に萌出し(能動的萌出)歯茎の位置が歯の形が見えるところまで後退し落ち着きます(受動的萌出)。
受動的萌出不全とは、この受動的萌出が適正に進まず、歯肉辺縁が歯冠側寄りに位置している状態です。発生率は12.1%といわれ、原因は不明ですが、厚い歯槽骨が認められます
この特徴として歯の頭が短く見えることで、歯の審美的形態が損なわれるガミースマイルの原因となります。また、歯と歯茎の隙間が深くなり、清掃性が低下し、歯肉の炎症やう蝕の一因となる場合もあります。
それに対して、能動的放出不全とは歯の放出が途中で止まった状態です。
つまり両者は歯の先端の見える位置が違うので治療法も全く異なります。
[治療法]
(受動的放出不全の場合)歯が歯茎に埋もれていることが原因なので、歯茎の整形手術を行います。場合によってはラミネートベニアなどを用いて歯の形も同時に整える場合もあります。
(能動的放出不全の場合)放出していないことが原因なので、矯正治療を併用しつつ噛みあわせを改善し、歯の先端の位置が笑った時に十分見えるようにしていきます。
[治療例はこちら]
骨格の過剰成長
歯の放出ではなく、骨格的に問題がある場合です。骨格が過成長を起こすと上顎自体が唇から飛び出してしまいガミースマイルとなってしまいます。
[治療法]
こちらは骨切り手術、矯正治療などを併用し原因を取り除きます。状況によっては歯茎の整形手術と補綴物のやり変えなどで対応することができる場合もありますが、かなりの侵襲となります。 |